国交省/建築物LCA制度化/大規模ビルから段階的実施に業界賛同

2025年8月6日 行政・団体 [2面]

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 国土交通省は2028年度の開始を目指す建築物のライフ・サイクル・アセスメント(LCA)の実施を促す制度で、当面の実施対象を大規模なオフィスビルなどに限定し段階的に制度導入の範囲を広げていく見通しだ。学識者や関係団体で構成する有識者会議で、日本建設業連合会(日建連)や不動産協会(不動協)の代表者らが段階的な制度導入に賛同意見を表明した。国交省は着工規制と一体となった二酸化炭素(CO2)排出量の上限値規制の導入は時期尚早と指摘し、まずはCO2の算定義務から始める必要があるとの方針も示した。
 国交省が4日に「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」の第4回会合を開いた。新たな制度では既に省エネ規制がある使用段階だけでなく、部材の製造や施工、維持・修繕、解体の各段階を含めたトータルのCO2算定を求める。制度化に当たってCO2の削減を目的としつつも、まずは算定の一般化を目指す方針などを会合で確認した。
 大規模オフィスビルなどでの算定を通じ、CO2削減余地の可能性や他の機能・性能とのトレードオフなどの課題を探り、データや知見・事例を蓄積する狙いがある。有価証券報告書でスコープ3(事業活動に関連する他社の排出)の開示が大規模な企業から順次義務化されることも念頭にある。次のステップとしてCO2削減の規制的措置の導入などを検討する方向だ。
 日建連からは制度導入の対象を集合住宅や公共建築物などに拡大していくロードマップを事前に示すなどの要望があった。有識者からはCO2の排出削減だけに着目するのではなく、算定・開示にもインセンティブを持たせた制度設計を求める声もあった。