国交省/違反恐れ行為の事例集作成/労務費の見積もり交渉、当事者は自己チェックを

2026年1月8日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、改正建設業法で措置した労務費の見積もり規制に違反の恐れのある具体的な行為を解説する事例集を作成した。建設Gメンの調査で実際にあった見積もりのやりとりの中で、改善が必要な取引事例を抽出。労務単価の据え置きや非合理な減額・指し値など、六つのパターンに類型化した=表参照。いずれも労務費が価格調整の原資となり、適正額の確保が難しくなる可能性が高い。結果として「労務費に関する基準(標準労務費)」を著しく下回る額となれば明確に違反行為となるため注意が必要だ。
 著しく低い労務費による見積もりの提出や変更依頼を禁止する改正法の規定が先月施行した。この法規制の実効性を高めるため、事例集を参照することで取引当事者が不適切な行為を自らチェックできるようにする。国交省は「少なくとも事例集で示した事例は建設業法上問題となり得る」として注意喚起する。
 それぞれの事例では行為主体を発注者や注文者に絞らず、受注者が自ら廉売に走るようなケースも念頭に置く。個々の行為が「悪質かどうか」も判断の目安にしない。あくまで労務費を原資とした競争を招きやすく、標準労務費で示す額を著しく下回る恐れがある取引事例としてまとめた。
 「お得意様価格」「初回割引」といった以前からの価格交渉も否定していない。受注者の利潤相当額を値引きの原資に充てるなど、労務費の引き下げにつながらなければ許容される。
 事例集で示すのは見積書の作成や調整、協議といった「行為・プロセス」の事例となる。今後の日常的な建設Gメンの実地調査の中で、同じような行為が確認できれば改善を促す方針だ。その上で実際の労務費の額が「著しく低い」の程度に該当する場合、見積もりのプロセスを含めて総合的に判断し、もう一段階上の対応として許可行政庁が行政指導・監督処分に当たる。
 改正法で労務費以外に見積もり規制の対象となった材料費や法定福利費、安全衛生経費などは、具体的な取引事例を挙げていないが「労務費と同様に適正な額が確保された取引をすることが必要」とした。まずは規制対象となった経費の内訳を明示した見積書をやりとりする商慣行の定着を呼び掛けている。
 事例集は5日付で建設業団体や官民の発注者団体などに送付し公開した。事例の追加など随時の内容更新も視野に入れる。