中部整備局矢作ダム管理所、中部電力/水位運用高度化操作を試行、発電量増加

2025年8月25日 行政・団体 [8面]

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 中部地方整備局矢作ダム管理所と中部電力は、7月に矢作ダム(愛知県豊田市、岐阜県恵那市)で発電量の増加につながる「水位運用高度化操作」試行を初めて実施した。従来操作と比較し、隣接する矢作第一水力発電所で約179万立方メートルの水を有効活用し、一般家庭約1240戸の1カ月消費電力に相当する約321メガワット時の増電につなげた。
 従来操作では、出水後に次の出水に備えて貯水位が洪水貯留準備水位以下となるよう、発電放流管と洪水吐きゲートから放流する。高度化操作では、最新の気象予測技術を活用して洪水対応に支障がないと判断した場合に、洪水吐きゲートからの放流を停止または実施しないことで、発電放流管のみで放流。発電量の増加につなげる。
 矢作ダム流域では、同16日午前9時ごろから雨が降り始め、流域平均総雨量91ミリを観測。流入量と放流量が同等になるよう水位維持操作を実施した。同17日午後6時からは高度化操作として、ダムでのゲート放流を停止。水力発電所のみで放流し発電量を増加させ、同20日午前10時に洪水貯留準備水位以下となった。
 矢作ダムの管理者は国土交通省。型式はアーチ式コンクリートダム。堤高は100メートル、堤頂長は323メートル。矢作第一水力発電所の管理者は中部電力。最大出力は6万1200キロワット、最大使用水量は毎秒94・7立方メートル。
 水位運用高度化操作は、愛知県が進める矢作川・豊川CN(カーボンニュートラル)プロジェクトの一環。今後も両者で協力し水資源の有効活用を図ることで、脱炭素社会の実現に貢献する。