SIP産官学プロジェクト/自動施工の協調領域創出/プロトタイプで模擬施工

2025年8月29日 行政・団体 [1面]

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 自動建設機械による土工事の普及に向け、産学官で進める共同研究の最前線が公開された。内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環で、施工プロセス全体を自動化する技術開発を推進。日々の施工計画を自動建機に正確に落とし込み、複数の建機を協調的に制御するシステムのプロトタイプを完成させた。さまざまな建設会社や建機メーカー、システム会社などが共通利用できる「協調領域」の創出が鍵。汎用(はんよう)的で手が出しやすい仕組みとして、中小建設会社も含めた自動施工の普及を目指す。
 茨城県つくば市の土木研究所にある「建設DX実験フィールド」で28日、プロトタイプを用いた模擬施工を公開した。複数の建機が協調し、掘削・積み込み、運搬・放土、敷きならしといった一連の作業を行った=写真。
 SIPの「スマートインフラマネジメントシステムの構築」に基づくプロジェクト。永谷圭司筑波大学システム情報系教授が研究開発責任者を務め、土木研究所と九州大学、フジタが共同研究者で参画している。
 多様な施工条件や日々異なる現場環境への対応が難しい自動施工の課題を踏まえ、建機の動作指示の共通フォーマットとなる「情報流通インターフェース」を設定。土研が提案する建機の「共通制御信号」も活用し、異なるメーカーの建機も同一の制御手法で扱えるようにした。
 インターフェースは建設会社とシステム会社をつなぐ役目を担い、日々の施工計画を忠実に再現可能にする。施工条件などに合わせた自動化システムを柔軟に選べ、自動施工の導入が容易になる。共通制御信号の実装でシステム会社は、個別のメーカー対応などを気にせずに済み、新規参入の障壁を下げ、技術開発の加速化が期待できる。
 研究期間は2027年度まで。永谷教授は「その段階では実現場に導入し、実際に見せることで建設会社に使えそうだと思ってもらいたい」と展望する。中小建設会社も含めて導入機運を高め、自動施工を前提とした工事発注につなげたい考えだ。