国交省/建設業政策あり方勉強会、経営力強化やDXで議論/企業規模別に対応検討へ

2025年9月3日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省が6月に立ち上げた「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」で、目下の社会情勢を踏まえ「技術」と「経営」に優れた建設企業の在り方を探る議論が本格的に始まった。企業規模で抱える課題が異なることを考慮し、まずは2日開いた2回目の会合で大手建設会社をフォーカスし、有識者らに意見を聴取。国交省は経営力強化やDXの動きを取り上げ、キーワードとして事業の規模拡大・多角化や海外展開、企業間の協調領域拡大による技術開発の効率化を挙げた。
 議論は冒頭を除き非公開で行われた。楠田幹人不動産・建設経済局長=写真=は、建設業が置かれた現状を念頭に「国民や社会の信頼があって初めて成立する産業だ。時代や社会の変化に合わせた生産システムの合理化に向け不断の検討も必要になる」と強調。こうした視点を共有した上での活発な議論を期待した。
 3回目の会合では中小企業を主体とする「地域建設業」に焦点を当てる。大手と地場・中小で経営課題や社会的役割は異なる。一律の政策誘導は適切でない可能性があり、細かく現状を分析し施策の検討に生かす。
 2026年3月までの残りの会合では重層下請構造の弊害是正や、人的資源マネジメントの在り方などのテーマを深掘りする。6月の初会合では重層構造を巡って「20年、30年も待っていられず、すぐに取りかかるべきだ」と訴える声があった。
 受注産業の特性から、工事の需給にミスマッチが生じる構造的要因を解明する必要性を指摘する声もある。建設業で禁止される労働者派遣が需給調整に有効と考えられ、弊害を分析した上で「必要ならば労働者派遣を実現するルール化も今後必要」といった踏み込んだ意見も出ている。
 国交省は勉強会で結論が出る前に、先を見越して関係するテーマに沿った調査・検討に向けた予算措置を視野に入れる。26年度予算の概算要求では、ICT導入による生産性向上策を深掘り調査し、経営事項審査(経審)などの企業評価の見直しを検討するための経費を新規で要求した。