全建会員、受注状況と利益が悪化傾向/発注量減少、技術者不足や資機材高騰要因

2025年9月5日 行政・団体 [1面]

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が実施した調査で、傘下の都道府県協会に加盟する建設会社の工事受注と利益の悪化が鮮明になった。全体の48・1%が「受注状況が悪化している」と回答し、利益も40・8%が「悪化している」と答えた。背景には公共工事の発注量減少、技術者不足、資機材価格の高騰などがある。現場管理費や一般管理費の増加も利益を圧迫している実態が、調査結果から明確に読み取れる。
 調査は「発注関係事務の運用状況等に関するアンケート」として6、7月に実施。加盟1891社から回答を得た。
 直近1年(2024年6月1日~25年5月31日)の受注状況を前年と比較した結果、「悪い」「悪化してきた」との回答は48・1%で、前年(39・6%)から約10ポイント増加した。地域別では東北が59・0%と最も高く、四国(52・7%)、中部(52・3%)が続いた。
 受注悪化の要因(複数回答)では、「公共工事の発注量減少」が87・3%と突出する。「技術者不足」(52・0%)、「競争激化」(46・6%)が多くの企業に共通していた。自由記述では「安定した受注につながる入札制度を望む」との意見がある一方、「発注量そのものが少なく、価格競争に陥る」と訴える声もあり、地域建設業の厳しい実情が示された。
 利益状況も受注と同様に悪化している。「悪い」「悪化してきた」との回答は40・8%で、前年から3・6ポイント増えた。地域別では東北(49・8%)、四国(49・7%)、北陸(45・4%)が高い割合を示した。利益悪化の要因も「発注量の減少」「技術者不足」「競争激化」が上位に挙げられている。
 利益を圧迫する具体的な事例として、「工期延長による追加労務費が反映されず赤字となる」「資材価格や労務費の上昇に設計単価が追い付かない」「現場条件や施工難度が設計歩掛かりと乖離(かいり)し、単価引き上げでも赤字になる」といった声が寄せられた。設計労務単価は上昇傾向にあるが、現場の実態との隔たりが依然として存在している。
 受注競争の激化、人材不足、資機材や人件費の高止まりが、地域建設業の経営を圧迫し続けている。利益確保が困難な状況は解消されておらず、持続的な経営環境の構築で早急な対応が求められている。