竹中工務店/廃レールをアップサイクルしベンチに

2025年9月8日 技術・商品 [3面]

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 竹中工務店はJR西日本などと共創し、鉄道の廃レールを活用した「ルーレベンチ」をJR大阪環状線・弁天町駅(大阪市港区波除3)に設置した。金属3Dプリンターで製作。長さ6・2メートル、幅1・5メートルのサイズで、屋外公共空間に設置した金属3Dプリント製品で国内最大級になる。廃材を新しい価値ある製品に生まれ変わらせる“アップサイクル”の取り組みだ。
 フレームに役目を終えたレールを溶解・成形して作ったステンレス溶接ワイヤを使用した。金属3Dプリンティングのうち「WAAM」と呼ぶ技術で複数の部材を分割造形。職人が組み立て溶接しベンチにした。構造解析を重ねるトポロジー最適化技術で合理的なフレーム形状を導き出した。
 座面には六甲山の間伐材(ヒノキ)を利用した。植物由来のフラン樹脂加工で耐久性と防腐性を高めた。名称の「ルーレ」はフランス語で循環の意味がある。
 発注者はJR西日本で、竹中工務店が設計と製作統括、設置を担当。金属3Dプリンティング(シモダフランジ)、材料提供(大同特殊鋼)、組み立て溶接(日本ニューロン)、木材コーディネート(SHARE WOODS)、木材硬質化技術(フランウッド)、サイン施工(BIKO)などと協働した。
 担当者は「今後、建築部材への適用を視野に金属アップサイクル技術の活用を広げ、循環型社会の実現に寄与していく」とした。