この人に聞く/パシフィックコンサルタンツ社長・大本修氏/顧客起点型で課題解決

2025年10月1日 人事・動静 [3面]

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 「中期経営計画2028~変革と成長、ともに未来の形を~」が1日にスタートした。ホールディングス(HD)体制に移行し、国内と海外のインフラプロジェクトにより注力できる体制を構築する。顧客起点型で課題を解決するビジネスも展開。独自のポジションを確立して成長を支える多様な人材が活躍できる環境を整える。=1面参照
 --経営環境をどう見る。
 「2025年9月期の業績は過去最高になる見通しだ。市場が踊り場状態にある中で、社内改革や民間プロジェクト受注などで成果が出てきたといえる。だが海外プロジェクトは伸びしろがある。新中期経営計画は、28年9月期の連結売上高で1000億円(国内公共550億円、国内民間300億円、海外150億円)の目標を掲げた。社会の転換期に対応できる経営体制で目標達成を目指す」
 --新しいグループ形態は。
 「できるだけ早く持ち株会社を設立し、HD体制に移行する。国内と海外のインフラプロジェクトを2本柱に据える。パシコンで海外プロジェクトを担うグローバルカンパニーと、23年12月にグループ化した開発コンサルタントのパデコを集約し、国際事業会社を立ち上げて海外市場の開拓拠点とする」
 「3本目の柱は、民間企業が抱える課題の本質に踏み込み、解決策を提供する新ビジネスだ。『豊かなくらしの実現』や『地球環境を守る』など、当社の使命と重なるキーワードを持つ企業と組み、これまでの建設コンサルタントと違う目線で課題を深く掘り下げる。新事業会社の設立を視野に入れ、今後3年で最適なビジネスモデルを固める。M&A(企業買収・合併)も選択肢の一つになる」
 --ソリューションビジネス本部を新設した。
 「PPPやBPO(外部委託)などのインフラビジネスや、デジタルソリューションを伸ばすことに加え、民間企業の担当者とコミュニケーションを取りながら新しい市場を開拓する。やりとりで得た『こんなことも仕事になるのか』という気付きを、ビジネスモデルとして提案していく」
 「カーボンニュートラル(CN)やネイチャーポジティブ(自然再興)などの分野は、評価指標が固められれば収益確保につながる。災害対応や復興事業に民間資金を利用するスキームを構築する必要がある。こうした需要を中長期的な目線でまとめたい」
 --経営目標達成の道筋をどう描く。
 「目標実現で何より大切なのは人材で、従業員エンゲージメントのアップが欠かせない。新中期計画は多様な人材が集い、心と体の健康が維持できる環境整備を基本方針の一つにしている。重要業績指標(KPI)に初めて非財務目標を掲げた。ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン(DE&I)分野は女性ライン管理職比率15%、健康分野は労働時間マイナス20%を目標に設定した」。
 (おおもと・おさむ)