大阪都市計画局/大屋根リング残置へ26年度予算案に調査費/周辺に公園・緑地整備

2025年10月9日 行政・団体 [8面]

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 大阪都市計画局は2025年大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の活用に向け、26年度当初予算案に検討調査費を計上する方針を固めた。残置するリング約200メートルと周辺約3ヘクタールの敷地を公園・緑地として整備する構想で、来年度から事業費の精査や整備効果の検証に入る。7日の大阪府議会都市住宅常任委員会で明らかにした。
 リングを建築物として残置する場合は改修・維持管理費が約90億円、準用工作物の場合は約55億円に上ると試算されており、いずれも部材の状態に問題がないことを前提としている。同局ではリングを所有する博覧会協会と協議中で、協会から提供を受けたデータを基に基礎や柱など構造上重要な部分の状態確認を進めている。
 残置のための財源は万博会場運営費の剰余金の活用を軸に、国の交付金や補助金、府市の負担、民間企業からの協賛金など多様な手法を組み合わせる方向で調整する。
 同局の担当者は「財源確保の検討を進めるとともに、財政当局に必要な予算計上を求めていくため、関係部局と協議、調整していく」とした。
 大屋根リングは万博会場の中央を取り囲むように設けられた全長約2キロ、高さ12~20メートルの巨大な木造構造物で、世界最大の木造建築としてギネス世界記録に認定されている。建築家・藤本壮介氏が設計を手掛け、分断する世界をつなぐ象徴として、リング内に各国パビリオンを配置した。開放的な回廊空間から会場全体を見渡せる構造が来場者に高い評価を受けている。