全建ブロック会議・関東甲信越地区/人材確保・育成で適正賃金確保など議論

2025年10月10日 行政・団体 [5面]

文字サイズ

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の関東甲信越ブロック会議が東京都内で8日に開かれた=写真。建設業が担い手を確保・育成し持続可能な産業の礎を築くには、賃金アップや再投資に振り向けられる適正な利潤確保が欠かせない。同ブロックの各県建設業協会は、最低制限価格の算定率や一般管理費の引き上げを国土交通省に強く要望。生産性を高めるICTの普及に向け制度の創設なども訴えた。
 東京を除く関東甲信越ブロックの建設業協会が9項目を要望した。建設業が発展し続けるには“当たり前に稼げる環境”が重要となる。適正利潤の確保に向け千葉県建設業協会と埼玉県建設業協会は、最低制限価格や調査基準価格の算定基準率、茨城県建設業協会は一般管理費の引き上げを要望した。
 業界の意見に対し、国交省は「中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルに基づいて設定している」と説明。一般管理費は「実態調査を通じて設定している」としつつ、人件費にしわ寄せがないよう、「価格以外の競争」を検討すると応じた。
 神奈川県建設業協会は、国土強靱化実施中期計画の着実な推進と公共事業予算の拡充を求めた。国交省は「中期計画の予算規模は5年間で20兆円強程度」と説明した上で、「補正予算も含め安定的な予算確保に努める」考えを表明した。
 懸案の人材確保・育成では働き方改革の実行と定着、生産性の向上が欠かせない。群馬県建設業協会は、時間外労働で「年720時間、月45時間超は6カ月まで」とする現行の上限規制が緩和できないか問いかけた。国交省は「所管する厚生労働省に伝える」とした。
 「ICT技術者の育成」に必要な制度創設などを求めたのは山梨県建設業協会。協会の意見に対し国交省も最新技術を活用した企業を認定するICTアドバイザー制度などを通じて「支援していく」と答えた。
 長野県建設業協会は熱中症対策に対応した積算基準の見直しを要望した。国交省も「猛暑時間や期間を避けた施工を望む受注者に最適な環境をつくることも発注者の責務だ」と回答。熱中症対策費を加算して一般管理費が積算できる制度などを通じ、柔軟に対応していくとした。
 栃木県建設業協会は地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)の推進、新潟県建設業協会は外国人材を受け入れる環境整備の必要性を訴えた。群マネは「2025年度に手引を策定する」、外国人材は「6月に設置した建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会で議論している」と応じた。
 自由討論では神奈川建協が公共工事の前払金が「振り込まれるまでにブランクがある」と主張。支払い方法の改善を提案した。