◇過去最多239者・282ブースが出展
 「ええもん(技術)使こて、ええモン創ろ!」をテーマに掲げた「建設技術展2025近畿」(主催・日刊建設工業新聞社、近畿建設協会)が30日午前、大阪市住之江区のインテックス大阪で開幕した。今年は行政や企業、大学・高専・高校など過去最多の239者が計282ブースを出展。9分野約650件の先進技術や研究成果を披露し、2日間にわたって産・学・官の幅広い交流の場となる。入場無料。=1面参照
 午前9時45分から多目的ホールで開かれた開会式では、主催者を代表して近畿建設協会の谷本光司理事長があいさつ。「今年は阪神・淡路大震災から30年、大阪・関西万博の開催という節目の年であり、まさに21世紀の第1クオーターを締めくくる激動の一年だ。防災インフラの整備や老朽化対策の重要性が増す中、社会を支える建設業の責務は一層重い」と述べた。その上で「若い世代の担い手が減少する中、本展が学生や若手との出会いの場となり、将来の担い手確保につながることを期待している。技術展が新しい出会いと連携のきっかけになればうれしい」と結んだ。
 出展者を代表して建設コンサルタンツ協会(建コン協)近畿支部の白水靖郎支部長が「大阪・関西万博の熱気が冷めやらぬ中、今回の技術展は社会資本整備を支える技術革新を広く発信し、持続可能な地域づくりに貢献する貴重な機会になる。DXなど新しい技術と発想を結び付け、建設分野でのイノベーションを生み出したい」と意欲を示した。
 来賓あいさつでは近畿地方整備局の齋藤博之局長が「建設業は地域の守り手として欠かせない存在。働き方改革と生産性向上を両輪で進める中、近畿インフラDX推進センターを設け、人材育成や情報発信を強化している。産学官が一体となって現場に新技術を実装し、万博のレガシー(遺産)を生かして未来の明るい建設産業の創出につなげてほしい」と呼び掛けた。近畿整備局の野坂周子企画部長が開会を宣言し、主催・共催など関係者ら14人がテープカットを行って技術の祭典が幕を開けた。
 建設技術展は土木学会CPD(継続能力開発、9・5単位)、全国土木施工管理技士会連合会CPDS(継続能力開発システム、4ユニット)のプログラム認定を受けている。展示は▽防災▽環境▽コスト縮減▽安全・安心▽施工▽維持・更新▽DX・ICT▽団体▽学校-の9分野で構成。現場課題の解決に向けた最新の施工技術やカーボンニュートラル関連技術、デジタル施工や維持管理効率化など、多彩な技術を紹介している。大学や高専、高校の研究成果展示も行われ、若手技術者と企業との交流の輪が広がっている。
 初日(30日)は、多目的ホールで関西ライフライン研究会による地震防災フォーラム「南海トラフ地震に備えて~阪神・淡路大震災から30年、大阪府の地震防災最前線~」が開かれた。大阪府危機管理室の遠藤淳防災企画課参事が基調講演し、奥村与志弘関西大学教授らがパネル討議。鍬田泰子神戸大学教授がコーディネーターを務めた。
 小ホールでは恒例の橋梁模型製作コンテストの会場製作部門が実施され、指定材料を用い、支間長1メートルの橋梁模型を2時間以内で製作する競技に22チームが挑んだ。事前に製作した支間長60センチの模型を展示する「学生部門」には大学や高校から43チームが出場し、デザイン性や構造の工夫を競った。
 午後は建コン協近畿支部のシンポジウム「西日本の『エッセンシャルネットワーク』~広域高速交通ネットワークを考える~」を開催。森戸義貴日本道路建設業協会副会長兼専務理事が基調講演を行い、大津宏康京都大学名誉教授をコーディネーターに、西野毅近畿整備局道路部長らが意見交換した。
 NPO法人あすの夢土木(理事長・大西有三京都大学名誉教授)が初企画した「今、バズる土木動画コンテスト」の表彰式も開かれ、学生や若手技術者が制作した映像作品が紹介された。
 また近畿整備局が「インフラDXコンペ発表会」を開き、公募で選ばれた新技術を発表。国交省の信太啓貴官房参事官(イノベーション)が特別講演を行った。
 2日目(31日)は、午前10時から橋梁模型製作コンテストの載荷試験が行われる。学識者や橋梁専門家で構成する審査委員が「規格」「デザイン性」「技術度」「完成度」「経済性」に加え、載荷試験の結果を総合評価し、最優秀賞などを決定する。
 午後には関西のインフラ強化を進める会のシンポジウムが開かれる。佐藤樹一郎大分県知事が「大分県広域交通ネットワーク構想」をテーマに特別講演し、小林潔司京都大学特任教授の進行で、齋藤近畿整備局長、豊口佳之四国整備局長が「国土強靱化の取り組み」についててい談する。
 小ホールでは、土木学会関西支部と建コン協近畿支部による「関西土木工学交流発表会」が予定されており、若手研究者らがポスター形式で研究成果を紹介する。併せて学生向けの「キャリア支援~相談にのります、将来への道づくり~」も実施。国や高速道路会社、建設コンサルタント、橋梁メーカーなどの担当者が学生の質問に答える。
 表彰式・閉会式は午後3時50分から行われ、注目技術賞やベストブース賞、橋梁模型製作コンテストの入賞者が発表される。
        




 
        
         
        
         
        
         
        
         
        
         
        
        





 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					