財務省は、建設業の人手不足を「他産業以上に構造的な課題」と指摘し、公共投資の増大が民間投資を圧迫するという趣旨で同省が懸念する「クラウディングアウト」を引き起こさないよう留意が必要だと改めて主張した。人手不足の影響が公共・民間のさまざまな事業の延期などにつながっており、何よりも生産性向上の重要性を強調。「公共事業関係費も国土交通省の掲げる生産性向上の目標を織り込んだ水準としていくべきだ」と説いた。
7日に開かれた財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)財政制度分科会で、社会資本整備の在り方を分析、展望した。建設業界の施工余力を懸念する声に、国交省や建設業団体は現場の実態を踏まえ「適切な価格と工期で発注されれば公共、民間を問わず十分に施工が可能」と訴えてきた。同分科会で財務省は、建設業の人手不足の深刻度を示すデータで紹介しながら、適切な発注がされたとしても「施工余力は十分にあるような状況を反映しているとは考えにくい」と国交省らの見解を否定した。
さらに工期の長期化が進む中で、労働時間の減少や手持ち工事量の増加、さまざまな事業の延期が相次いでいることから、「『適切な工期』の設定が過大な工事量を受注可能にする方策とされてはならない」との考えも示した。
こうした事態を打開するため、生産性向上の取り組みの実効性向上を主張する。国交省のi-Construction2・0の目標達成には年平均2・4%程度の生産性向上が必要とし、公共事業予算に織り込むべきだとした。










