相模原市/リニア駅周辺まちづくりイノベーション戦略/研究開発都市への進化など

2025年11月18日 行政・団体 [5面]

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 相模原市は、「リニア駅周辺まちづくりイノベーション戦略」を14日に公表した。JR・京王線橋本駅南口(緑区)で建設中のリニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)開設を好機と捉え、東京圏と名古屋圏も視野に入れた広域的なプロダクトイノベーションハブの形成を目指す。企業誘致や研究機能集積を促進し、研究開発都市への進化を図る。今後は神奈川県と連携して研究開発拠点整備の検討や可能性調査、民間開発事業者が入居するオフィスなど業務施設の整備・設置などへの支援を検討する考えだ。
 市は神奈川県県央地区や東京都多摩地域に立地する企業の研究開発拠点、大学、研究機関、高度人材の集積などの潜在力の活用を図る。リニア開業で実現する都心・関西方面とのアクセス向上を生かし、日本中央回廊と首都圏をつなぐ「人や企業の広域的なハブ」を将来ビジョンに据える。
 ビジョンを実現するために▽広域的なイノベーションバレーの形成▽デジタル、ロボット、モビリティに関する研究開発の促進▽グローバルネットワークの確立と交流の場形成▽イノベーション創出の文化とプライドの醸成▽駅周辺を中心とした実証・実装プラットフォームの形成▽先端技術を有する企業の研究開発機能、研究機関、大学研究室などの誘致・集積-の6項目を目標に掲げた。
 市は2023年11月、まちの将来像とまちづくりの誘導方針などを定めた「相模原市リニア駅周辺まちづくりガイドライン」を策定している。上位計画である市総合計画や先行するガイドラインなどと整合性をとりながら、産官学共創によるイノベーション創出を推進し、一歩先の未来の実現を目指すとしている。
 市は24年12月に「リニアまちづくり推進本部会議」(本部長・本村賢太郎市長)を立ち上げ、駅周辺のまちづくりや関東車両基地(緑区)設置などを視野に、企業誘致、にぎわい創出などで市の魅力を生み出す方策を検討してきた。下部組織として、副市長が幹事長で都市建設局を所管する「推進幹事会議」と、リニア駅周辺まちづくり担当部長を座長とする「推進連絡調整会議」を置いている。このほか具体的な取り組みは「専門部会」を設置し、産業活力創出、広域交流促進、駅前空間のにぎわい創出などの観点から検討を続けている。
 9月には都市再生機構が、「橋本駅南口地区土地区画整理事業」の事業認可を国から取得している。リニア新駅を含めた橋本駅南側の約13・7ヘクタールが対象。総事業費は約290億円。35年度の事業完了を目指す。リニア新駅直上を含めた再整備を行う。敷地中央部に駅前交通広場を設け、敷地西側を複合都市機能ゾーンとしてまちづくり拠点、業務・商業・生活支援機能を誘致する計画だ。