東京都/葛西臨海水族園ガラスドーム・プロジェクト/既設保存に向け建築家ら議論

2026年1月14日 行政・団体 [4面]

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 東京都は、再整備を進めている葛西臨海水族園(江東区)で、既存建物の保存活用に向けた議論を重ねている。「ガラスドーム・プロジェクト」と銘打ち、2025年12月13日には新進の建築家らを交え、既存建物の設計意図の解説や近代建築の保存活用事例を紹介するシンポジウムを現地で開いた。新水族園が完成する28年9月以降に建物の劣化度調査を行い、具体的な保存活用策を策定する予定だ。
 水族園は1989年に開園した。設計は谷口建築設計研究所が手掛けた。RC・S造3階建て延べ1万3629平方メートルの規模。特徴的なドームは高さ約21メートルで、872枚のガラスで構成している。建物内部に47の水槽があり、マグロが泳ぐ大水槽は2184立方メートルの容積を持つ。
 ガラスドームは水族園を象徴する建物だが、建物本体や配管、設備の老朽化に加え、飼育スペースやバリアフリー対応の不足から再整備が決まった。隣接地では新水族園の建設が進行している。都は24年2月に既存建物を保存する方針を表明。ガラスドーム・プロジェクトとして、シンポジウムなどを通じて利活用方針を検討してきた。
 昨年末のシンポジウムは「葛西臨海水族園の設計思想について」をテーマに、谷口建築設計研究所の村松基安顧問と建築家の豊島夕起夫氏が登壇した。「建築の再利用について」では、大建設計の中村光邦東京事務所長、建築家でMARU architecture共同主宰の高野洋平氏と森田祥子氏、東京都立大学名誉教授の深尾精一氏が議論を交わした。全体の司会は、建築家でRFA主宰の藤村龍至東京芸術大学准教授が務めた。
 「葛西臨海水族園の設計思想」では、村松顧問が当時の資料を用いて、デザインや平面計画などの意図を解説。東京湾と一体で見えるようにデザインされた水盤やガラスドームが、初期案からどのように変遷してきたかを紹介した。「建築の再利用について」では参考事例として、MARU architectureが設計を担当した旧伊賀市庁舎再整備事業(三重県伊賀市)を取り上げ、近代建築の保存・活用の在り方を議論した。