国土交通省は、自らの処遇に不満がある技能者が賃金情報などを添えて直接通報できるシステムの試行的な運用を2027年1月にも始める。最低限支払うべき水準として建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収で定める「標準値」を下回っているかどうかを判定し、関連情報を含めて建設Gメンに提供する。試行運用を経てシステム利用者の使い勝手やセキュリティー確保で改善を加え、27年度中の本格運用を目指す。
各地方整備局の「駆け込みホットライン」など法令違反の疑義情報を受け付ける既存の窓口と異なり、法令違反に該当するかどうかにかかわらず、実際に賃金を受け取る技能者本人から直接情報を寄せてもらうことを狙いとする。情報提供を受けた建設Gメンは、これを端緒情報に雇用主を調査し、取引関係者間で不適正な請負契約の実態がないかを調査する流れとなる。労務費ダンピングなどの違反行為があれば是正指導する。
通報時は年収や職種、所属企業、CCUSレベルなどをフォームに入力する。任意で給与明細の提出を受け付ける。匿名入力や、労働組合などからの代理入力も可能。CCUS未登録の場合は経験年数を入力する。試行運用を前にフォームの使いやすさや精度向上を目的に、全建総連が協力する形で実際の技能者に意見をもらっている。通報者の特定につながらない仕組みを求める声などが出ている。
5日に開かれた「労務費に関する基準(標準労務費)」に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループでは、通報しやすい複数のアクセス手段の確保やセキュリティー対策の徹底で運用後の段階的な改善が必要だとの意見があった。基本的に自己申告の情報を扱うことから、不正確な情報に振り回され現場が混乱することを懸念する委員もいた。国交省は、使いやすさと正確性のバランスを見極めて運用する考えを示す。生の賃金情報を多く吸い上げることで、建設労働市場の賃金水準の透明性を高める機能の順次拡充に期待する声もあった。









