論説・コラム

回転窓/食文化の灯火 [2021年2月15日1面]

 大切な家族や気の置けない友人たちと囲む食卓でのおいしい料理は、普段の暮らしに彩りを添える。家庭の味や旅先の名物料理など多様な「食文化」は人生を豊かにしてくれる▼新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、再度の緊急事態宣言で向かい風が強まる飲食店。営業ができなくなったり、店を開けても自粛モードで客足が遠のいたりと厳しい経営状況が続く。コロナ禍の長期化により、これまで育んだ食文化が途絶えてしまう恐れも...続きを読む

回転窓/遠きふるさと [2021年2月12日1面]

 ふるさとは 遠きにありて 思ふもの-。詩人・小説家として知られる室生犀星の詩「小景異情」の書き出しの一節であり、印象に残る詩句を見聞きした方も多かろう▼その詩意を読み解くと、ふるさとは遠く離れて思い出し、どんなに落ちぶれても帰るべきところではないという。望郷の念を抱きつつ、ふるさとから遠く離れた都会にまた帰っていこうとする哀愁漂う心情が表現されている▼ふるさとへの思いは、人それぞれ異なるだろう。...続きを読む

回転窓/現場の死亡者ゼロを [2021年2月10日1面]

 統計データを長年整理していると一定の傾向に気付くことがある。損害保険会社に勤めていた米国のハーバート・W・ハインリッヒ(1886~1962年)が事故データから見つけたのが「ハインリッヒの法則」だ▼一つの重大事故の背後には29の軽度な事故があり、さらに背後に300の異常がある。この異常は事故にはならなかったが、危険な事象(ヒヤリハット)があったことを指す。つまりヒヤリハットが起きた段階で危険回避の...続きを読む

回転窓/優しさも度を過ぎれば… [2021年2月9日1面]

 2022年春入社に向けた採用活動が動きだしている。コロナ禍の影響で業績悪化が深刻になっている企業は多く、数年間続いていた超売り手市場に少なからず変化がありそうだ▼地方公務員の採用試験で地元開催の保護者向け説明会が活況を呈しているという記事を、時事通信が8日午前に配信していた。子どもの就職活動に関心を持つ保護者が増えたのに加え、「新型コロナウイルスの影響で帰省できない学生に代わり、情報収集する場と...続きを読む

回転窓/懐かしい秩序のある新幹線 [2021年2月8日1面]

 在宅勤務や移動の自粛が続き、出張のときに見た景色や思い出が話題になる機会が増えていると聞いた▼船上で見た真っ青な空と海が印象的な初夏の瀬戸内海、紅葉の険しい崖からエメラルド色の川面が見渡せる黒部峡谷のトロッコ列車…。人それぞれの絶景が仕事のため目的地に向かう旅の思い出にあるという。ブルブルした携帯電話が知らせてくれた身震いした内容を忘れられない人も少なくないそうだ▼JR東日本が新幹線の車内でウェ...続きを読む

回転窓/バイオ市場 [2021年2月5日1面]

 筑波大発ベンチャーのサナテックシード(東京都港区、竹下心平社長)が国内初となるゲノム編集食品の展開へ準備を進めている▼アミノ酸の一種で血圧上昇抑制などが期待できるギャバを通常の4~5倍含有するトマトが対象。昨年12月に厚生労働省へ届け出た。種子を試験販売し、年末に店頭で販売される目標を掲げている▼合成生物技術を中心とした革新的なバイオテクノロジー分野では、付加価値や生産の面で有利な食品や素材、製...続きを読む

回転窓/竪琴の音色 [2021年2月4日1面]

 児童向けの文学作品として描かれた「ビルマの竪琴」。第2次世界大戦時のビルマ(現ミャンマー)を舞台に、一人の日本兵が奏でるたて琴の音色が物語を紡ぐ。時に隊員らの士気を高め、戦没者への慰霊や仲間との惜別の気持ちを表す▼1956年と85年に映画化。日本兵と英国兵が「ホーム・スイート・ホーム」を大合唱するシーンは、遠く離れたわが家を恋しく思う気持ちに、敵も味方も関係ないことを伝える▼平穏を迎えたかに見え...続きを読む

回転窓/大きな行動が必要 [2021年2月3日1面]

 「債務拡大につながっても恩恵は代償を上回る」(ロイター)。米国のバイデン新政権で財務長官に就任予定のジャネット・イエレン氏の発言だ▼先月行われた米上院財政委員会の指名承認公聴会。新政権の1兆9000億ドル規模の新経済対策案に対し、必要性を強調した。大型経済対策はトランプ政権時から数えると今回が3回目。米国内では債務拡大を懸念する声も上がる▼それに対し「追加措置を講じなければ、足元のリセッション(...続きを読む

回転窓/便利さの追求と規制のバランス [2021年2月2日1面]

 新型コロナウイルスのまん延が契機というわけでないが、ネット通販での買い物は世の中にすっかり定着した。手軽に選べて運が良ければ普段よりも安く購入でき、配送にもそれほど時間がかからない▼インターネットに国境はなく自由に旅行に行けない分、海外から商品を購入する方も多いのでは。最初は不安と抵抗があっても慣れさえすれば世界中からさまざまな物を買うことができる▼通販に限らず生活に便利なツールを提供し、ビジネ...続きを読む

回転窓/災害時に役立つ公衆電話 [2021年2月1日1面]

 東日本大震災から10年を迎えようとしている。発災当時、電話による安否確認が増えたため固定電話や携帯電話の発着信に規制が掛かり、家族や会社となかなか連絡が取れなかった。あの時の不安は今も鮮明に覚えている▼災害時でも「公衆電話」は通信規制や停電の影響を受けないと後日、友人に教えてもらった。通信規制の対象外として優先的に扱われる「災害時優先電話」で、停電時もNTTの通信ビルから電力が供給されるため硬貨...続きを読む

回転窓/21年春闘が幕開け [2021年1月29日1面]

 2021年の春闘が幕開けした。経団連(中西宏明会長)は新型コロナウイルスで企業収益が悪化しており、基本給の水準を引き上げるベースアップ(ベア)は困難との認識を示している。企業の存続と雇用の維持を最重要視する姿勢だ▼27日には東京都内で経団連と連合のトップが会談。入院先の病院からオンラインで参加した中西会長は「働きがいを実感できる職場環境づくりが春闘の大きなテーマになる」と述べた▼経団連の調査によ...続きを読む

回転窓/PC特需!? [2021年1月28日1面]

 在宅勤務やオンライン授業などがコロナ下で広がり、パソコン(PC)を購入した方も多かろう。企業もテレワーク率を高めるため社員にノートPCを貸与するなど、IT環境の整備を急ぐ動きが目立つ▼電子情報技術産業協会(JEITA)によると、ノートPCの国内出荷台数(2020年実績)は前年比25・1%増の894万5000台。8年ぶりに過去最高を更新し、デスクトップを含めた全体では6年ぶりに1000万台を超えた...続きを読む

回転窓/水屋の富 [2021年1月27日1面]

 18世紀初頭に100万人都市だった江戸。当時、英国・ロンドンの人口が50万人というから、いかに江戸が大都市だったのかが分かる▼そこで暮らす人々の生活を支えていたのが上水道。有名なのは玉川上水と神田上水で、この2大上水からおけに水を入れて担いで売る「水屋」が長屋などを回って供給した。落語の「水屋の富」は、ある水屋が富くじで大金を手にしたことから始まる▼水屋は薄利できつい仕事を辞めたかったが、水がな...続きを読む

回転窓/憂いを拭い将来に希望を [2021年1月26日1面]

 1月も終わりに近づき、進学する学校が決まる入学試験も本番の時期を迎えている。受験生を抱える家庭は期待よりも不安が大きくなり、落ち着かない日々を過ごしているだろう▼国公立大学では25日に2次試験の願書受け付けが始まった。国立大82校と公立大90校で計約9万8000人を募集。共通テストの結果を踏まえて、どこの大学、学部を選択するのか多くの受験生が選択を迫られている▼コロナ禍に踊らされる今年の受験。共...続きを読む

回転窓/できた?より良い復興 [2021年1月25日1面]

 2015年3月に仙台市で開かれた国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組にある「Build Back Better」。東日本大震災を教訓に、より良い復興を目指す考え方の一つとして取り入れられた▼「BBB」と略されるこの言葉は今、世界各地で飛び交う。国連のグテレス事務総長は、新型コロナウイルス感染症の世界的な危機からの復興への呼び掛けに引用。米国のバイデン新大統領は「よりよき再建」を掲げた新政権移...続きを読む