論説・コラム
2026年6月9日[1面]
2002年の日韓ワールドカップ(W杯)は、日本中を興奮の渦に巻き込んだ。街には出場国のユニホームがあふれ、歓声とため息、そして感動が交錯した▼もっとも、初めてW杯に心を奪われたのは、ディエゴ・マラドーナが輝いた1986年のメキシコ大会だった。両親に怒られまいと、16歳の高校生は音や光が漏れないようテレビに布団をかぶせ、その“かまくら”の中で神の手と5人抜きに息をのんだ▼それから数十年。W杯は今な…
2026年6月8日[1面]
江戸時代に医師で本草学者の人見必大(ひとみ・ひつだい)が著した『本朝食鑑』には、食と医の観点からさまざまな食材の特徴や効能などが書かれている。当時の食文化も分かり、現代語訳が出版されていて興味深く読める▼同書の「穀部之二・造醸類十五種」に取り上げられた酒の一つが梅酒。その効能を「痰(水毒の一種)を消し渇を止め、食を進め、毒を解し、咽痛を止める」と説き、梅酒に適した梅の大きさや作り方なども記してい…
2026年6月5日[1面]
学名「ニッポニア・ニッポン」。「朱鷺(とき)色」と呼ばれる淡いピンク色の美しい羽を広げ、優雅に大空を飛ぶ国の特別天然記念物・トキは、まさに日本を象徴する鳥だ▼かつては日本各地に生息していたが、明治時代以降に乱獲や開発で、その数は激減した。1981年に野生のトキを保護して繁殖を試みるも失敗。日本のトキは絶滅した。その後中国から贈呈されたペアをもとに人工繁殖の技術を確立し、2008年に佐渡島で放鳥。…
2026年6月5日[12面]
建築へ/佐藤総合計画/シンガポールと台湾に進出、関係構築へ現地大学で講演
佐藤総合計画が海外事業で新たな国・地域への進出に動いている。1990年代から大型プロジェクトに取り組んでいる中国に続き、東南アジアに展開。中国で得た経験と実績を生かし、現地の設計事務所や教育機関などと信頼関係を築きながら、一緒に国際コンペに挑む方針だ。鉾岩崇社長ら幹部がシンガポールと台湾の大学で講演し、同社の設計理念や実績などを紹介。今後も交流を重ね連携の可能性を探っていく。 同社は中国で多く…
2026年6月4日[1面]
出水期に入ってすぐにやって来てしまった台風6号の影響が続いている。記録的な大雨が降った地域があり、これ以上の被害が出ないよう願いたい▼政府は2日から警戒を呼び掛けた。休校や運休を早々に決めた学校、交通機関があって、3日は在宅勤務や休暇取得を促した企業が少なくなかった。それでもインフラ管理者や災害対応を担う建設会社などは事態対処に奔走した。いまも活動中の人たちの安全も重ねて願いたい▼全国建設業協会…
2026年6月3日[1面]
政府は2日、内閣府沖縄総合事務局が復元工事を進めている首里城正殿(那覇市)の完成式を11月22日に首里城公園で開くと発表した。木原稔官房長官が定例会見で明らかにした。正殿は2019年10月に火災で焼失し、政府や沖縄県が復元の工程や必要な技術、再発防止策などを検討した。22年に清水建設・國場組・大米建設JVが復元工事に着手した。 会見で木原官房長官は「工程表に基づき、復元に向けた取り組みを進めて…
2026年6月3日[1面]
ピカピカに磨かれたボディーにきれいな内装、最新の設備で安全、快適な運転をサポートする。自動車の中でも一般にはあまりなじみのない大型トラックの展示会があり足を運んだ▼トラックと聞いて思い浮かぶのは狭い車内。だが実際は想像以上にゆとりがあり、車高のある車種であれば立ちながら運転席から助手席へと移動ができる▼会場を物色していると、車体のカメラ映像を合成して車両周りを確認できるモニターシステムが展示され…
2026年6月2日[1面]
忙しさとは、不思議なものだ。人を鍛えることもあれば、人の輪郭を雑にしてしまうこともある。余裕を失えば、視野は自然と狭くなる▼目の前の数字や締め切りに敏感でも、周囲の疲れや沈黙には鈍くなる。厄介なのは、多くの場合、本人にその自覚が乏しいことだ。「今は仕方ない」「後で整えればいい」。そんな言葉を重ねるうちに、周囲をじわじわと疲弊させていく▼人は誰でも忙しくなる。問題は忙しいことではなく、その中で何を…
2026年6月1日[1面]
きょうから6月。今年の梅雨入りは九州から東北にかけて平年より遅くなるとの予想だ▼雨の少ない空梅雨では夏の水不足が心配され、降り過ぎると災害や農作物の被害につながる。気象庁の発表によると、気になる降水量(6~8月)は全国的にほぼ平年並みの見通し。だが、梅雨期には大雨となる可能性もあり注意したい▼この時期に警戒しなければならないのは雨だけではない。果樹生産者などが対策に追われるのは、カメムシによる被…
2026年5月29日[1面]
長野県軽井沢町の矢ケ崎川左岸に茂る木立の中に、美しい形態と豊かな空間を備えた別荘がある。RC造の1階に、大きく張り出した木造の2階と中3階を載せた建物は、片流れの屋根を架け自然に溶け込む▼モダニズム建築をけん引しながら住宅も多く手掛けた建築家の吉村順三氏(1908~97年)が、62年に建てた自らの別荘。スギ現しの内外装や半屋外の空間などの手法を用い、居室などがテラスや吹き抜けでつながる豊かな空間…